うっこの匂いは

「足の爪の匂い…」
「うんそう！足の爪の匂い」
ここはさる一等地の最上階。

何か不思議な力が働いているのだろう。いろいろなものに感謝をしてみよう。
ありがとう。
絵を買ってくれた人、数寄和さん、わがみ堂さん、直さん、資料保存器材さん、神谷さん、●●さん、きょんきょん。
ぐるぐるする。

「みせていただいていいですか」
「これがそう。」

ふたを開けると、そこは　ぎっしりの白いダイラタンシー流体が。
「腐らないように水を張ってたまに取り替える。さわってみる？」
「はいいっ」一同手を突っ込む。
ザクっどろり。
妙なとろみ。そして
「この…かおりは…」
そう！
前述の通り。

そうして修行？が開始されたのである。修行というのもおこがましいのだがなんとういうかその…
「画を描くものもしらねばならぬのではないか」
ということで、赤っ恥をかきに行く為に無理を承知で頼んでみたのであった。
一人では心もとないので、ぜんまる/じっこ/女王様で挑む。

そうして始まった表具講習会。
道具の説明から入る。
「こう持つ」
「こう？」
「ちがう。こう。」
「こう？」
「そうそう。わたしはね、表具というものも所作はお茶と同じで形があると思っている」
「ほおー。」
「動きも然り、水を置く場所、糊を置く場所」
「おおおーっ」
ハードルがかなり高いことを悟る。
無駄な動きは不要ということだ。洗練されねばならないということなのか。

「裏打ちはしたことある？」
「はい。雲肌麻紙に裏打ちをするのがあって…」
「巻物は？」
「…」
「じゃ、ま糊を練ろうか、煮てあるのがそこにあるから」
「はい。」

濾す、練る。
馬毛水嚢を使って小判型の桶で練る。ゴージャス。
「これほしーい」
「俺お祝いでもらったからある。丸包丁と。」
「いいなー」

糊が練りあがり作業に入る。紙を切る。
次は喰い裂きだ。
「ちがうっ」
「え？」
喰い裂きってこうじゃなかったっけ？長手を…
「ちがうっ」
あれ～　緊張する。
どうやら長手を喰い裂くのではなく短いほうを裂くと。
ほうほう。
「知らないんだな。巻物はこう。こっちにこうおいて…」
わからないことがわかった。先生の所作を見る。
流れるようだ。どうしよう。
「どうだ。」
はいいっ

と、そこからふかわは失敗の連続。　表裏そろえるの忘れるわ、紙は切り忘れるは、破くわ糊が付いたところが乾くから決められないわ…。
書くのも思い出して恥ずかしくなるほど、やっちゃーならない失敗をことごとくした。
ああ。
こりゃおうちで練習だな。

しかし他の三人は鮮やかに裏打ちを済ませた。それも宣紙で！ああ…。
仮貼りに悲しく貼られる破けまくりの宣紙…。コレで画が描いてあったら泣くね。私。

かなり落ち込む。
こんなに不器用じゃないっ私！
ということで次回までにお茶の所作とみまごうかのような手さばきが出来るようにするっ。わーん。

こんなに出来ないのは足し算以来だ…。ぐすん。