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「描いて解脱」呪詛のようにつぶやき絵を描く日々
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「その見込み甘いよ」
女王様は言った。
その通りだった。
わーんっ
だってできるとおもったんだもん。仕立ててもらったら高いと思ったんだもん!
だからだからがんばればひとりでできるもん!って思ったんだもん!

注:38歳


わたしは絵を貼る支持体としてどうしたらいいか悩んでいた。漠然と屏風がいいなーと思っていた。

かみ屋のおじさんに聞いてみたらば
「サイズは?」
「180ぐらい」と漠然とサイズを言ってみた
「はい、かいさーん」
「ええ?」

その場にいた表具師さんともども解散になった。ど、どぼぢて…。
家に帰って調べてみると屏風にもある程度決まったサイズがあるようだと知った…。
ヤバイ。不勉強だったのがバレたんだっ。

うーん。うーん。ぴこーん!
じゃ、売ってる古い屏風を買えばそれならサイズも古典サイズでいけるだろう!
と、考えネットで買うことにした。
本紙側を剥いて貼れば無問題!と考えた。
しかし縁をはずすことは素人には無理だろうと考え、どうするとはずせるかを師であるミサえもんにお伺いを立ててみようと思いついた。
私、あったまいいー。

「どうやると取れるのかなー、おしえてーミサえもーん」(←脚色)
「縁ー?あー?んーまーうちでやってやろうかー?屏風ー?つか本紙剥がして貼るの?どうすんの?ゆがむよ。画は肌裏にさらに貼ってからじゃないと…。下貼りは?あああーま、そういうのは開けなきゃわかんないよー」
そう、素敵表具店店主 ミサえもんは言った。
「まあ、いっぺん持ってきなさい。」
「わーい」
その言葉に甘え、いそいそと女王様を使って私は持っていった。
袋貼りまで講習してやるとお話をいただけた。やったー!
女王様は言った「甘いよ、見込み甘いよ」
私にはそんな言葉はどこ吹く風でまったく聞こえなかった。


が、本紙を剥がしてみると女王様の予言どおり案の定その屏風の中身はイカレテイタ。いやとうの昔に逝かれていたご様子だった。
「ネットじゃなー」
その場にいる職人四人の笑顔がグサリと胸に刺さった。
私でも分かるほどの逝かれっぷりだった。
「いい勉強代だよ」
そうそんな言葉が私に掛けられた。

…私は曲がりなりにも劣化について皆々様に迷惑をかけながら勉強したつもりだ。
ここで大きな声で堂々と言おう!
「そう、私の買った屏風はとんでもなく劣化していたんだーい。だーい…だーい…だーい…」

「さいしょからやれば?」
みさえモンは優しかった。ミサえもんだけは優しかった!慈愛に満ちていた。助けてミサえもん!そんな言葉をかけずともやさしくいってくださった。でもそれは始めからやるってことで、下貼りを一からやり直すってことでくっついているものを全て取り払ってから再度貼りなおすと言う事だった!←ココ、愕然とするところだよ!

「あー凄い灰汁だねー」
「わーすっごいペラペラっ」
「悪い見本の見本市みたいだねー」
「どうこのパリパリッぷり」
「知ってる?劣化した紙燃やすと黒い灰ができるんだよ」
「なんか目がかゆいと思ったらソレですね」
「おお、この組子ひびはいってるとちがう?」
「字が出た字が出た。年号を探せ!」
「このふるい蓑貼りの奴頑張って補修する?金になるかもよ。ま、なんないだろうけど。」
「ねえ穴を空けたら10円とかって徴収すれば?ぽすっ←指で穴空けて遊ぶ様」
「屏風一回もやったことないのにいきなりリペア。こんな難しいのがはじめてなのなーはっはっはっはっ」

素敵なミサえもん軍団に数多のナイフ指摘を受けた。
みんなとっても優しかった。
みんなのぬるい視線が私にはとても眩しかった。
女王様は
「だから最初っから見込み甘いって言ったじゃーん。あ、そうだ木部さんに注文しに行きたい。だからふかわさんっ一緒に会いに行こう。ねっ。」
「ううう…うん。 い い よ。」
家来が窮地に陥ってもやっぱり女王様は女王様だった。
家来は木部さんに連絡を取るための勅令を賜った。


そして翌日からガシガシ作業が始まった。
「剥がし終わったら、水で熟ませてへらで剥がして雑巾掛け」
「はいっ おおおーぅ」

「これ貼れ」
「はいっ、紙はどうやって切るでありますかっ」
「しらんのかーっ」
「はいであります!」
「こうやるのだー!」
「はいっ…できました!どうやって貼るでありますかっ」
「こうだー!」
「はいっ」
「次これ貼れ!」
「はいっ紙が数えられません!」
「お前は小学生の母親だろう!」
「はいであります!でも数えられません!」
「紙の数え方はこうだー親指でつまんでひねる!」
「はいであります!」
「できとらんではないかっ!よくみろ!こうだ!」
「わかりました!子どもをつねるような動きですね!」
「おまえは子どもをつねるのかー!」


紙を折らずに四角く美しく採る方法、紙を数える方法、のりの置き方やきり方、のりの効率の良いのばし方、あまたのことを教えていただきました。ありがとうございます。感謝いたします


「で、どうしてここにきてるの?友人の息子の嫁とは聞いているけど」
職人さんも疑問ですよね。こんなペーペーの道場付属カルチャー上がりのニンゲンが天下のミサえもん道場仕事場営業中に来てたら…。お仕事お邪魔して本当に申し訳ない次第です。

「はっはいであります。好事家さんより紹介を受けスタートした紙行脚であります。数寄和さん直さん資料保存器材さん、特種製紙商事さん、●き●●さん、かみ屋さんです。そしてココは義母からの紹介にて伺ってます。」
「はあ、一通り回ってきてるのね。で、特種製紙って誰にあったの?」
「特種製紙商事の神谷さんです!」
「オレ友達」
「!!!」

またしてもこんな偶然が…。
少しナイフも優しく投げてもらえるようになりました。
神谷さんありがとう。またAFプロテクト注文するね!
「刷毛!持ち方真ん中持って!」
「はいいっ」

でもでもでもでもまだまだ終わりません。うわーんっ

「後五日かかるな/にやり」
「ひーっ」


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