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「描いて解脱」呪詛のようにつぶやき絵を描く日々
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きれいになんかしなくていい。酸化&酸性化要因だけとって汚れ取ればそれでいい。」
もぅっ
地団太を踏みたくなる。
ということで早速資料保存器材に突撃。「ご訪問下さい」のメールに即回答をして本日会社訪問する。
大変お邪魔いたしました。お騒がせしてすみません。

生贄で美人で記憶補助装置の女王様と行く。失礼千万なので道に迷って(通り過ぎて)15分もの遅刻の末たどり着く。
そしてご対面。資料保存器材/木部さんに会う。
かっちかちのいでたちではなく職人系の空気をまとっている方で一安心。ひたすら遅刻を謝る二人。本当にすみません。

私がインターネットを通じて人に会うのはこれで三度目。一つ目は広告関係の方。二つ目は絵本図鑑出版の件で。三つ目が資料保存器材。怖いこともあるのかもしれないけれども幸運なことに私はいい人に出会えている気がする。

挨拶もそこそこに会社内を見せてもらう。二階に分かれていて一階部分が修復?作業用で、二階が容器作りの場所。とにかくどこもかしこも興味対象で楽しかった。刷毛ひとつとっても乾燥棚もロール紙も。「あれは紙舗直製ロール紙っぽいー」とか「サイトに載ってた消しゴムのひとつだー練りゴムも使うんだーメーカーは何をー」「透過版もでかいー!」「こりがアーカイバルボード?!」等…。騒いではいけないので必死に思いを飲み込んで説明を受ける。

木  「これが1300年前の紙」
ふ・せ「ふおーっ」
木  「これが入ってた奴」
ふ・せ「ふおーっ」

木  「あっちも見るか紙漉き。リーフキャスティング」
ふ・せ「見る見る見るー」
木  「こういう作業はいつもやっているんじゃないからね」
ふ・せ「おおー」

記憶定着の悪い人間に親切に解説をしてくれる優しい木部さん。印刷技術の歴史概要や保存概念について教えていただく。

「折り目だって書き損じだって残す価値があるものは残すべきなんだよ。サイトにもあるけどその手紙についた涙の跡は残すべきものだよね。残すべきものと残さなくてもいいものがある。何でもかんでもきれいにしてしまえば良いわけではないんだよ。」
木部さんは「エビデンス・ホウルevidence hole」と言っていた。状況と経時の証。(資料保存器材サイト内/今日の工房/2007年2月26日関連)
どうしても、綺麗にする=酸化による色素?茶褐色
(下記コメント参照:正しい知識が得られる。)になったのを取る というのはおそらくアルカリに浸す「洗い」が必要になるので折り目や涙の跡はなくなってしまう。浮世絵でも空刷りが消える為洗いや裏打ちは好ましくないと言う。
地団太です。新しい概念との出会いは楽しい。残す価値。いかすおねーさんの言ったとおりだ。闇雲じゃいけないと重ねて思う。知っていてすることと、知らないですることは意味が違う。

んー。
じゃあ、若手作家は?あたしの作品は?

木「これやる」
えっ、と思う間に手に渡していただいたものは古い
 印刷済み 手稿 の羊皮紙。
せ「いいんですかっ」
木「うん、俺のだから」
女王様は中国からヨーロッパ方面へ行った紙の歴史を調べていたというのもあって念願の羊皮紙に出会えて「見たかったのーわー」連呼。

木部さん二階に上がって容器作成関連の紹介をする。
木「これ、一番かわいい奴。飲ませろ休ませろ言わない」
指し示すはオートカッター。CADのデータ通りに休まずカットしてくれる。確かに楕円を切るところなどくりくりと先端が動いて小憎らしい。元は製図用のものとのこと。しかし本当に良くできている。…CADを操るお兄ちゃん達の笑顔が痛い。

そして
木  「これが社長」
ふ・せ「!!!(最後に社長を紹介すんなっ)お世話になりますっ。お邪魔してますっ。」
社長 「(笑顔)」

おおー。小柄な方だー。エプロン姿でなんともかわいらしい。お休みもあいまってかこの会社スーツのスの字もない。作業に従事、女の子の足見たら学校でよく使う上履きだったし。 飾らず必要なことだけを、という印象だ。いいなー。

とにもかくにも今日は時間の関係上一時間ほどの訪問にて終了。
木  「社長は、あれ俺の妹」
ふ・せ「うえーっ」
き  「元銀行屋なの。で、社長にしたの」
ふ・せ「うおーっ」
木  「だからほら俺なんかが社長やってると湯水のように金使っちゃうだろ。まずいじゃん」
せ  「ですよねー」
木  「(ちょっぷ)」

立つ鳥跡を濁しっぱなしで去る。
いやはや本当に資料保存器材様
ありがとうございました。今回は短い時間でしたがとても楽しかったです。また伺わせていただきとうございます。よろしくおねがいします。

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ふたつ、コメントを。

酸化と酸性化とは違うことです。酸化というのは酸素(oxygen)が関わる化学反応、酸性化というのは酸(acid)による化学反応です。いずれも紙その他有機物の「劣化」をもらたすものですが、この二つの化学反応は、それぞれ単独で、あるいは組み合わさって、または一方がもう一方の反応を導き出して、というような複雑な形で生じています。

ごらんになった「百万塔陀羅尼経」の変色は、酸化×酸性化が組み合わさったものでしょう。いずれにしろ茶色や褐色の「変色」として顕現すると言われています。理論的には、酸化も酸性化もエンドレスの反応ですから、これを止めるのが保存処置です。したがって変色物(大半が水溶性)を紙の中から出してやることが第一ステップなのですが、水を使うとインクが滲んだり、evidence hole がなくなったりしまうというジレンマがあることが多いのです。そこで、くだんのようなマッティングやフレーミングに工夫をして、歴史的な痕跡を可能なかぎり残して、なおかつ現在以上に劣化しないように最大限の保護をするという方法を選択しています。

もうひとつ、さしあげた15世紀の本のページの羊皮紙は印刷ではなくて手稿です。

では、29日に再見! 朝まで生保存、かな。
こちらこそ訪問を許していただきありがとうございます。

>酸化と酸性化とは違うことです。

このあたりが知りたくて知りたくて。木部様とお会いできてお知り合いになれて嬉しい限りです。勉強になります。Blog紹介してくださった方にも感謝です。

>もうひとつ、さしあげた15世紀の本のページの羊皮紙は印刷ではなくて手稿です。

あれが?手?誤字ない?書き損じは?えー?
すごいっ。昔の共産主義国の教育では書き損じは絶対に許さない(「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」より)というのを読んだことがあるのですが、なぜ?訓練に訓練を重ねて頑張れば人は書き損じることはなくなるのでしょうか?!

>では、29日に再見! 朝まで生保存、かな。

いや…あの…。まさか年度末ってそういう時期で訪問には最高に適していないお日にち?ということを揶揄されているのでしょうか…。うっ。
2008/01/15
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